「レキシントンの幽霊」 [本]
「レキシントンの幽霊」 村上 春樹 (1996)
短編集の良い所は、何か合わないな…と感じたらざっくり飛ばし読み
出来るので楽に入ることが出来る点です。
いい癖ではありませんが、一つ響く物があれば、何度も読んでしまいます。
短編でも読み応えのある秀作は多いです。
この「レキシントンの幽霊」の中で、私は「沈黙」を推します。
まいった…読みながらじんわり汗ばみ、頭に血液がカーっと上がってきてしまった
のです。 これ俺だ…って。(※事件に巻き込まれた経験ではありません。)
誰しも似たような経験はあるでしょう。
人を陥れる為(嫉妬)や正当化する為(保身)の嘘は確かに醜いです。
反論する事すらむなしくなり、沈黙してしまいます。
しかし、悲しいのは第三者は自分にとって有利な方を真実だと思い込もうと
努力し、それに共感してしまう所です。
まったく面識の無い相手を陥れる行為を楽しみ、優越感に浸ることで安心します。
それによって得たコミュニティーを守る為、真実は悪へと変わります。
しかし、被害妄想に囚われても何の解決にもなりません。
そういった人達は、そもそも “どうでもいい” 相手だからそのような対応をしたのです。
そんな動機を、いつまでも気にしている方が馬鹿をみるだけです。
“真実は自分が観ている。”と言い聞かせて生きるしかありません。
おかげで、 “無関心” と “どうでもいい” の違いを見抜く能力は付きました。
あまのじゃくな性格とも言いますが…
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