「あの戦争は何だったのか」 [本]
「あの戦争は何だったのか」 保阪 正康 (2005)
“読みやすい”
一言で表現するのなら、これが適した言葉です。左右にぶれる誘惑もない。
情報量不足の部分は、読者が調べれば良いだけの事。
「あの戦争とは?」 な疑問には適した著作でしょう。
最近、テレビや新聞で靖国問題が多く取り上げられているが、
「あの戦争とは?」の問題に少し位は触れて欲しいと感じる。
「あの戦争があったから、今の私たちがいます。
戦争を否定するということは、私たちの存在を否定するということ。
ゆえにあの戦争は“正しかったとするのが妥当”。」
この様な恐ろしい言葉を発する輩が最近多くありませんか?
最後の1人になる自信のある人は好きなだけ戦えばいい。
私は、その様な思想を持つ方に対しては命を賭けて戦いましょう。
“戦争は思想から生まれるもの。本能ではない。”
加筆:
戦争は回避できると述べたかった訳で、思想にたいして力で戦う
事を肯定する意味ではありません。
「99%の誘拐」 [本]
「99%の誘拐」 岡嶋二人 (1988)
第10回吉川英治文学新人賞受賞作
この書籍が、「この文庫本がすごい!」2005年1位に選ばれ、
書店のレジ横のコーナーに置かれたお陰で、岡嶋二人の著作物に
出会えた訳で、思い入れのある作品です。
お勧めします。あらすじは、“アマゾン“でどうぞ。
まだ二人をコンプしてないのですが、この著者らの作品がもつ共通点は、
「まったく古びない」 ってことでしょう。 おそらく今後も。
細部の描写が甘い、という指摘も出来るかもしれませんが、ミステリーの
面白さ、ストーリーとテンポの良さは、その隙のお陰でもあるので、
この場合は“有り”です。
最後は、もうちょっとページが欲しかった。
慎吾のその後が気になりつつ…読み終えました。
読んでいる途中でちょっと気になったのは、この作品はドラマ化(映像化)
されているんじゃないか?って事。
読後まではネットで調べるのを我慢して、その後調べたのですが
どうも映像化はされていないようです。
でも、“スキーで斜面を滑走しながら犬笛をふいて電話(モデム)
を起動させるトリック“ の映像が頭に残ってるんですよね~。
いつ頃の記憶だろう?
“当時のテレビとリビング“の記憶が、その“映像“と繋がっているので
推定すると19~13年前。気になる…インスパイアされた作品でも観たのかな…
記憶の細部まであと少しってところで、ジェームス・ボンドが滑走して邪魔をする ',)
「幼年期の終わり」 [本]
「幼年期の終り」(Childhood's End) [1953]
アーサー・C・クラークの長編SF小説。
クラークの代表作としてのみならず、SF史上の傑作として広く愛読されている。
備考:映画「2001年宇宙の旅」(1968)の脚本をスタンリー・キューブリック
と共同執筆している。(その後、小説版として出版した)
労働、仕事、活動の違いを考えさせられる本でもあります。
この小説で感動する人はいるのかな…。私は絶望ですよ、虚無。
色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是…
何度唱えても私は“最後の世代”には成れそうにない。
読むなら早い方が良いかもしれません。思春期とかね。
絶望は悪いものではありません。絶望しないと成長しませんしね。
ま、人それそれですが。
宇宙人=グレイしか、想像できないアメリカンな人は読んで欲しいですね。
なんで裸?コェ~よ、わざわざ地球に来て何をするのかと思えば
“アブダクション”&“キャトル・ミューティレーション”の繰り返し。
たまに“サークル”作って喜んでるみたいだが、「学生かっ!」って言いたいね。
「地球外生物と交信を」なんて掲げて宇宙に向け電波発信をしている団体が
あるみたいですが、正直やめて欲しいんですよ。
ホントに来たらどうするんですか?
こっそり探してこっそり観察するのが一番ですよ。
「チョコレートゲーム」 [本]
「チョコレートゲーム」 岡嶋 二人
恥ずかしながら、書店のレジ横でこの“2人”の著作物が並べられており
最近、手に取った次第。
第39回日本推理作家協会賞(1985)を受賞したこの作品。
およそ20年前のものだが、まったく古さを感じない。後から知り驚いた。
失礼ながら最新作であり最終作の「クラインの壺」(1989)の方が古臭さを感じてしまった。
(※「クラインの壺」はSF色が強く、連絡手段に電話を使うのだが携帯電話が普及していない
時代背景ならではの出来事も多く含まれている為そう感じたのだろう。
1989年に読んでいたら古さは感じなかったかもしれない。)
私は推理小説はあまり得意ではない(中盤から集中力が持たない)のだが、
「チョコレートゲーム」は、映画を観ているような、時間の流れが同調した感覚
になり、“読まされている”といった苦痛を感じなかった。
279ページという短さがそれを助長したのだろうが、一つ一つの謎(キー)が明瞭で
それに立ち向かう登場人物の行動も合点がいく。
難航不落の容疑者もいなければ無駄な複線も張っていない。
何よりも最後の最後、3回は聞き直さないと永遠に分らないであろうトリックで
「めでたしめでたし…」、なんて終り方をしない所が嬉しかったのだ。
長編の推理小説で面白いと感じたものが少なかったので、嬉しくて岡嶋二人の作品
を現在物色中。
※京極夏彦の作品を批判している訳ではありません。大好きな作家です。
しかし、文庫化してもあの重さ、、あれは凶器です。
「黒い家」 [本]
「黒い家」 第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
映画化(1999)されているが、予備知識なしでの読書を薦める。
貴志 祐介にハズレなし。どの作品を薦めても良いのだが、
「黒い家」は外せない。
私がこの本を知った経緯は、1998年…
「パラサイト・イヴ」を読む。
↓
日本ホラー小説大賞なるものを知る
↓
「黒い家」の受賞を知る。
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通勤前に購入し昼休息に目を通す。
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続きが気になって仕事に身が入らない。
↓
6時上がりで帰宅途中のベンチで読書。
↓
怖くなって帰宅。
↓
完読し、怖くて眠れない。
↓
2周目に突入…
中弛み無し。もう幽霊なんて怖くない、暗闇だってへっちゃらさ!
「海辺のカフカ 」 [本]
「海辺のカフカ 」 、正直「面白い」作品ではない。
読み終えた時の疲労感というか、孤独感というか。嫌いじゃないけどw
突き放された訳ではないけど、振り向いたら村上さんは居ない…みたいな。
登場人物のユーモラスな比喩が村上作品の魅力だが、それを場面と状景で表現
した感じ。ちょっと難解だが、テンポの良さで誤魔化される。
独特の世界表現や登場人物の言い回しは魅力的なので、「大人のファンタジー」
として委ねてしまえばスーっと読み終える。
読者の想像に任せたスタイルなので、後味を悪く感じる方も居るかもしれないが、
それでいいと思うし、「だから何?」ぐらいのタフさがないと駄目なのかもしれない。
これまで村上春樹の作品を数冊読んだが、「海辺のカフカ 」で村上デビューして
いたら、間違いなく次は無かっただろうな…
でも、よくよく考えると
「ノルウェイの森」を読み終えた時も同じ様な後味だった気がする…。